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*由紀side

「__________いやはや、それにしても近衛公爵は素晴らしい御令息がいらっしゃって羨ましいことだ。甥の義孝もよく君の話をする。」 「いえいえ、まだまだ若輩者でございます。____________」 杖をついて階段を降りていると、下から声がした。 お客がいるようだ。 姿を見られないようにしなきゃ……。 急いで階段を降りようとした時だった。 「うわっ!」 足を踏み外してしまい、落ちる、と思い目を瞑ると、来るはずの床の硬い衝撃がない。 「大丈夫ですか?」 そう声を掛けられ、ハッと顔を上げると背の高い男が受け止めていてくれたようだ。 慌てて、「す、すみません。ありがとうございます。」とだけ言って、僕は急いでその場を立ち去った。 勿論、その男が立ち去る僕の背中を見つめていたことになんて気付かずに。

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