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空気のようにありたいと思っていた。 それなのに声を張り上げた。 体が震える。熱は増す。 このまま走って逃げたい。 だけどその必要はなかった。 「どけ」 あの人の声が冷たい。 もうかかわることはない。 これが最後。そっと横にずれた。 あの人が中に入って行った。 「ここはあとにしよう」 仕事は他にもある。

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