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おまけ。 マンションには身一つで来いと言った。 あいつの物は全て自分が用意する。 あいつ自身に唯一無二の価値がある。 他は捨てろと言った。 なのに、あいつは家計簿を携えて来た。 「なんだ?それは?」 「家計簿」 「十円の次は家計簿か?」 「僕には大切なものなんだ」 意固地な目をして言われた。 負けた。

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