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夕暮れ時は幻想を見せる。 学生時代の戯れを瞳に映す。 愛と信じた。欲望に従った。 社会の現実を前に、夢は霞んだ。 自然に別れた。 その男の後ろ姿が人ごみに消え行く。 「さよならも言ってない」 走り出していた。 男の肩を掴んだ。 驚く顔が微笑みに変わる。 勇気が出た。 「時間、ある?」 「おまえの為なら」

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