3 / 37

第3話

 口づけされた、と感じた時はもう一真の唇は去っていた。  去り際に、ぺろりと舌で唇を軽く舐められた。  その仕草が、悪戯っぽい。  歓声が上がった。 「やりやがった!」 「凄い!」  まだあまり馴染みのない、同性同士のキス。  それを勇気ある無謀な男が、披露して見せたのだ。  両手を上げて歓声に応える一真。  その姿を呆然と、光は見つめていた。  クラッカーが鳴り、場は最高に盛り上がった。

ともだちにシェアしよう!