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第4話

 この雰囲気を、壊すなんてできない。  光は、その場にすとんと腰かけるしかなかった。  頬の火照りが、耳まで上がる。  心を落ち着けようと冷たいジュースを飲み、気づいた頃には、場はお開きの方向へと進んでいた。  皆、二次会へ突入する勢いだったが、光は帰る事にした。  無理矢理引っ張り込もうとする者が、腕を掴む。  困っていると、一真が割って入ってきた。 「俺も帰るからさ。一緒に歩こうぜ」  じゃな、と軽く手を挙げ光の背を押すと、しつこかった腕が離れた。  冷やかす声を聞きながら、光は逃げるようにその場から去った。  

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