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第37話

 光は黙って眼を伏せた。  彼とは、距離をおかなきゃ。  顔を合わせると、きっと今夜の事を思い出す。  思い出すと、きっと辛い。  ただのゲームと割り切れるほど、光の一真に対する想いは単純ではなかった。 「ゲームは、これでおしまい。だから、今からは」  そこまで言うと、一真はくしゃりと光の髪を柔らかく掴んだ。 「マジで付き合わないか? 俺と」  突然の告白に、言葉が出なかった。  だから、返事の代わりにそっと顔を寄せた。  どちらからともなく、静かに唇を合わせた。  二人に、幸せな新しい年が来る。

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