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第17話
……トクン、トクン、トクン……
先輩から感じる熱が、心音が、僕を心地良くさせてくれる。
ずっと乾いていた心が潤い、沁み入って満たされていく……
「………安心しろ。お前が欲しいのは温もりで、それ以上を求めてる訳じゃねぇってのは……ちゃんと解ってるつもりだから」
「……」
そっと囁かれ、後頭部を優しく撫でられる。先輩の脇腹辺りをぎゅっと掴めば、子をあやすように先輩が背中をトントンとしてくれる。
──そう、かもしれない。
なのに僕は、カズの優しさを利用して……僕の中 へと引き摺り込んでしまった。
あの時を一緒に生き抜いたからって、勝手に運命共同体のように感じて……カズを雁字搦めにして、自由を奪って。
だからカズは、僕との関係に嫌気が差したんだ。
──だったら。
この出向は、カズにとって……都合が良かったのかもしれない……
「……」
そう、自分を納得させようとしても……
心が、抉り取られるように……苦しい。
──5年前。
あんな事が起きなければ……僕とカズは、変わらず友達で居られたのに。
「………先輩」
「ん?」
「お願いが……あります」
「……」
僕を見つめる先輩の顔を、縋りつくように下から見上げる。
「酷い事、言ってもいいですか……?」
「……何だ?」
そう前置きしたのに、先輩は優しく微笑んで後頭部を撫でてくれる。
その優しさに縋りながら、僕は本当に、酷い事を口にする。
「………抱いて、下さい」
………ん、……
四つん這いの格好で両肘を付き、シーツを握り締めながら顔をベッドに沈める。
ぴちゅ……ぢゅぷ、……
突き出したお尻の割れ目に、先輩の熱く濡れそぼつ舌が這う。
キュッと閉じた小さな襞。そこを、刺激するように、舐め上げられながら、時々ぢゅっ…、と吸われる。
「………ぁ、あ″あっ……!」
柔らかいながら強い快感の中に感じる、鋭い痛み。
反応して屹立した僕の先端から、先走った液が垂れたのが解った。
ガクガクガク……
内腿が、痙攣する。
ぶるぶると震えて、身体を支えていられない……
もう、苦しくて。
背中を丸め、顎先を僅かに浮かせれば、堪らず大きな声が漏れてしまう。
「……伊江、お前……」
不意に先輩が動きを止める。
掴んだ僕のお尻を、更に親指の腹で左右に開く。
「………いや、何でもねぇ」
「……」
腰を捩って振り返ろうとする僕に、先輩が自己解決した言葉を吐く。
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