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第一章 出会いの変奏曲

 ヨーロッパの南に、小さな王国があった。  アラルガンド王国。  面積約200平方キロメートル、人口40000人にも満たない小さな小さな国だ。  だが、その国土は美しく、常に緑と花々に満ち溢れていた。  国民性は温和で、親切。治安もよく、外国からの観光客に高い評価を得ている。  国王には7人の王子がおり、彼らは力を合わせて王を助け、この小さな国で平和に暮らしていた。  王は姫に恵まれなかったため、末の美しい王子を溺愛していた。  7番目の王子の名は、パッサカリア。  白く透き通るような肌に、美しい柔らかな巻き毛。瞳はサファイアのように輝き、その下にあるひとつの小さな泣きぼくろまで可愛らしく、美貌を引き立たせていた。  美しいパッサカリアは、美しいものが好きだった。  特に、音楽。  宮殿に高名な音楽家を招いては、美しい演奏を楽しむ事が好きだった。  そんなパッサカリアのために王は国中の音楽家に門戸を開いていたので、腕に覚えのある者たちは自由に王子の前で演奏を披露する機会に恵まれていた。 「父上、今夜の演奏もすばらしいものでした」 「気に入ったかね、パッサカリア」  パッサカリアは美しい音楽に囲まれ、幸せな日々を送っていた。  

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