2 / 104

第一章・2

   大成功だ、とジンガラはひとり悦に入っていた。  癖のある黒髪をかきあげ、髭をざらりと撫でた。  そして、にやりと笑みを作った。  俺様の創った音楽。  これまでになかった全く新しいジャンルを確立し、大都市はもちろん国内のあらゆる地方コンサートまで、どこも大盛況だ。  そろそろ、国外へ。  母国のアポジャトゥーラを制覇したら、次は海外でその実力を試してみたくなる。  俺の音楽は、どこまで通用するのか。力試しがしたくなる。 「とは言っても、どこから攻めるかな~」  そんな独り言をぼやきながら街中をふらふら歩いていると、ふと自分を呼びとめる声がした。

ともだちにシェアしよう!