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亜利馬、それから4人の先輩たち

 そういう訳で……ドラマも動画も楽しみではあるけれど、俺達のメインは何を置いてもまずはDVD撮影なのだ。 「獅琉くん、潤歩くんお願いします!」  今日はこの後で潤歩との写真撮影がある俺は、待機を兼ねてスタジオ見学をさせてもらっていた。場所は本社ビルから一番近いいつも使用している撮影スタジオで、セットのテーマは「オフィス」だ。美形の新卒サラリーマンに扮した獅琉が、ビル清掃バイトをしている不良学生の潤歩と隠れてヤりまくる内容になっている。  ツナギを着た潤歩がデッキブラシを担いでいるその姿は清掃員というよりも、ヤンキーが武器にブラシを選んだという雰囲気だった。  既にチャプター前半は撮り終えていて、これから中盤の絡みを撮るところだ。俺は邪魔にならないようセットからうんと離れた場所で椅子に座り、久し振りの見学にドキドキしながら撮影が始まるのを待った。 「獅琉、もうちょい脚開け。膝が当たる」 「こう?」 「どうせなら限界まで開けよ」 「股関節痛いって。内腿攣っちゃう」  ワイシャツにネクタイを引っかけて下半身丸出しの獅琉は、そんな恰好でも普段と変わらず笑ったり困ったりしている。デスクの上に座って脚を開き、潤歩の腰が入りやすいように「片膝立てた方がいいかな?」などと二階堂さんに相談している。  全裸でも半裸でも、今更もう恥ずかしいなんて思わないくらいに体を見られ慣れている俺達だ。もちろん撮影時に限った話ではあるけれど、いちいち前を隠すことなんてしない。 「棒、立てて。潤歩くん、ずれないように支えてあげててね」  アシスタントさんが位置調整をしたデッキブラシの柄を握り、潤歩が不敵に笑う。 「おう。思いっ切り腰振れよ、獅琉」 「あはは、滑りそう」  これから撮るのは、デスクの上で開脚した獅琉が潤歩の握るブラシの柄に自信のそれを擦りつけて勃起させる、というシーンだ。  獅琉は座ったままで腰を振らなければならないから大変そうだけど、通常時から完全に勃起するまでを「ノーカットでお届けします」という大事な場面だから俄然二人とも気合が入っている。出来るだけ早くかつ無事にこのシーンを撮り終えるには、潤歩の協力も必要なのだ。 「カメラ回りました!」 「──スタート!」  合図の声が響いた瞬間、顔を突き合わせてお喋りしていた二人の目付きが変わる。潤歩は完全にドS顔だし、獅琉も悔しそうに唇を噛みながら、だけど快楽を前に抗えないという複雑な表情になっていた。 「オラ、てめぇで好きなように擦ってみろよ」 「っう、……クソ、……」  潤歩が握ったブラシの柄に、下を向いた獅琉の先端が触れる。 「んんっ……!」  シャツを着て下半身丸出しの姿って、どうしてこんなにエロく感じるんだろう。こういうのを目にすると「着エロの美」という言葉が頭に浮かんでくる。下手に裸でいるよりもずっと興奮してしまうのは、俺がスケベだからって理由だけじゃないはずだ。

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