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ブレイズ、みんなで竜介をお祝いする
「あれ、大雅。何してるの?」
「……見たら駄目」
今日は丸一日休みの日。朝から大雅の部屋で映画を見たりして寛いでいたら、テーブルの上で大雅が何やらごそごそしているのに気付いた。
声をかけた俺に対して、大雅はテーブルに身を伏せて上にあった物を隠し「亜利馬はあっち行け」とめちゃくちゃなことを言っている。だけど耳まで赤くなっているから、それが「竜介絡み」のことだとすぐに分かった。
「隠すなよ、教えてよ。笑わないから」
「……もうすぐ、竜介のデビュー記念日。今年で丸四年目」
「へえ、そうなんだ! 竜介さんがデビューしたの、このぐらいの時期だったんだね」
「だから、プレゼント作ってる」
その答えに何だかこっちまで嬉しくなる。俺はほっこり気分で大雅の頭を撫で回し、心の中で頑張れ頑張れと呟いた。
「で、何作ってんの?」
「……お、教えない」
「どうせ後で分かるんだから、今教えてよ。『完成するまで誰にも見られちゃいけない』っていう恋のおまじないがかかってるなら、いいけどさ」
「馬鹿じゃないの」
俺の罠にかかった大雅が呆れたように言って、テーブルから体をあげた。
そこにあったのは毛糸のマフラーだ。竜介っぽいダークブラウンの、まだ編みかけだけど、これからの時期にぴったりの贈り物。
「うっわあ、大雅すごい! 編み物できるの?」
「ううん、獅琉に教えてもらった」
「流石は獅琉さん、女子力高いね。でも教えてもらっただけで編めるなんてすごいよ!」
それに、今時手編みのマフラーをプレゼントするだなんて可愛らし過ぎる。女の子だって今は編み物なんてしないんじゃないだろうか。
「竜介さん、こんなに愛されてるのに何で気付かないんだろう……」
「そこがいい。鈍感なとこ、可愛い」
「あは、珍しく惚気るね」
真っ赤になりながらも大雅が編み物の続きを始める。その純粋な気持ちと大雅の綺麗な指で編んだマフラーなら、きっと物凄くいい物が完成するはずだ。
「……亜利馬は、誰かにプレゼントする時って、手作りしたことあるの?」
「小さい頃に粘土で作った動物とかを親にあげてたけど……それはカウントしないよね? 好きになった人に手作りって、言われてみればしたことないな。バレンタインは潤歩さんの誕生日だし、皆の分も含めてチョコでも作ろうかなって思ってるけど……潤歩さん甘いの嫌いだしね」
「亜利馬からのチョコなら、潤歩も喜ぶと思う」
「そうかな。もっといいモン寄越せとか言われそうだけど」
「潤歩だって気持ちが籠ってるものを、そんな風に言わない」
どちらにしろバレンタインはまだまだ先の話だ。今は何といっても竜介のデビュー記念。俺も何かプレゼントしようかと思うけれど、大雅のマフラーの邪魔にならないようなささやかなプレゼントといったら、何があるだろう。
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