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亜利馬、カメラを回して目も回す・5
翌日。
「いよいよラストは大雅だね!」
「あいつは手強いぞ。何しろ不感症サイボーグ少年だからな」
「そ、そんなことはないと思うが?」
「三人共、静かに。静かにですよ……」
何故か最後の撮影だけ、獅琉に潤歩に竜介も参加することになった。「どうせなら最後は派手に」という、山野さんの指示があったからだ。
場所は獅琉の時と同じ撮影部屋。今現在、大雅はテーブルに身を伏せて居眠りをしている。
「寝てる。相変わらず寝てる時の大雅って、幸せそうで可愛いね」
獅琉が呟き、俺もそれに頷いた。
「寝起きだと更に機嫌悪いか、無反応なんじゃねえの?」
「……それにしても狭いな。クローゼットに男が四人もいるとなると……」
ぎゅうぎゅうのクローゼットの中、俺はカメラを構えながら大雅の寝顔をズームしていった。
そっと撮影部屋のドアが開き、仕掛け人のモデルが入ってくる。昨日のマッチョモデルではなく、雰囲気を竜介に寄せたイケメンモデルだ。
「き、気付きますかね……?」
そろりそろりと大雅に忍び寄り、テーブルの下に隠れる仕掛け人。俺達はゴクリと息を飲み、その瞬間と大雅の反応を緊張しながら待った。
「っ……?」
突然ハーフパンツを強引に脱がされ、大雅がテーブルから顔を上げた。いよいよスタートだ。
「なに……?」
仕掛け人のモデルが座ったままの大雅の脚を開かせ、その中心に思い切り顔を埋める。
「だれ? 竜介……?」
寝ぼけているらしく、大雅は全く動じていない。が……
「竜介じゃない。誰。……殺すよ」
「……おっかねえ奴だな」
潤歩が呟いて、思わず噴き出しそうになる。
「やめて。……あ」
モデルの頭を引き剥がそうとしていた大雅が、急にぴたりと動きを止めて、……
「あぁっ……! や、ぁ……あぁ! やめ、ろ……!」
ようやく事の重大さに気付いたのか、突然声を張り上げ始めた。椅子に座ったまま切なげに目を伏せて喘ぐ大雅。堪らなくセクシーで、俺達までもぞもぞしてしまう。
大雅のペニスがモデルの口の中を出たり入ったりしている。
「あっ、ん……。もう、やだ……」
卑猥に濡れた音と大雅の甘い声。興奮した息使いが入らないよう、俺達はみんな手で口を押さえていた。
「あぁ……あ、ごめん、……イきそ……」
大きく息をついた大雅が、股間に顔を埋めるモデルの髪を強く握った。
「あっあ……ぁ、出ちゃ、……った」
「大雅っ! サプラーイズ!」
これ以上覗き見ていたら俺達まで射精してしまいそうで、少し早いタイミングではあったけれど四人全員、クローゼットから飛び出した。
「……なに?」
「サプライズ企画でした! 大雅、めちゃくちゃ可愛かっ──」
「………」
「……う」
無言で俺を見つめる大雅の目が怖くて、俺はハンディカムを大雅に向けたまま沈黙した。
「あ、あのさ。今回はそういう企画だったんだ。大雅もそれとなく知らされてたでしょ? ドッキリ系の盗撮企画で……」
「……ドッキリ系?」
大雅がハーフパンツを穿き、椅子から立ち上がる。
「亜利馬が仕掛けたってこと?」
「そ、そうなんだ。『突撃! 亜利馬のハッピー・ブレイズ・サプライズ』っていうタイトルの企画でさ」
「……亜利馬のハッピーサプライズ?」
「う、うん……そうです……けど」
俺を見ているのは大雅だけじゃない。獅琉も潤歩も、竜介まで。
いつの間にか四人全員が一塊になって、俺を見ていた。
「亜利馬」
獅琉がニコリと微笑んで、言った。
「逆ドッキリ、って知ってる?」
「っ……!」
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