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今夜のお仕事②

 制服のジャケットは脱がされて、セーターだけにされる。そのセーターをまくり上げられて素肌に触れられた。  俺の肌。若いんだから勿論ハリがあってすべすべ。  家での風呂のあとはボディクリームを塗って手入れをしているのだ。  手触りは最高。商売道具なんだから綺麗にしておかないとな。  爪の先まで綺麗になるように普段から気を使ってる。 「すべすべだね」  男は感嘆したように言って、俺の肌を撫でまわす。  俺の体はもう男に抱かれることにもすっかり慣れたので、そう触れられてももう気持ち悪くもない。気持ち良くは……あんまりないけれど。  でも頭に玲也のことを思い浮かべれば、別。ヤツが触れるという妄想がうまくキマれば頭の先まで震えあがってしまうくらい。  そのくらい俺は本当はアイツが欲しい。  でも手に入らないのだから妄想で満足しておくしかないんだ。  そのほうが健全。色々な意味で。  行為自体が不健全であろうとも、俺にとってそれがメンタル的には大変健全であった。  腹を撫でまわして、脇腹まで回って、胸の近くまで手が入ってきて、そのあとまくり上げられた。ただ、俺は細身の体躯のうえに体に沿うようなシャツを着ているので、セーターはともかく、シャツまでそのまままくり上げるのはちょっと難しい。  男もそれに気付いたように、まくり上げるのは諦めたようでセーターだけたくし上げて、その下のシャツのボタンをぷちぷちとはずしはじめた。 「レオくんってハーフなんだっけ」  ふと質問されて、それ自体は構わないけれどこのあとに続く要求は決まっていたので、俺はちょっと嫌だと思った。 「そうだよ」 「その青い目、カラコンとかじゃなくて本物?」  ほらこうくる。こういう要求はもう何回もされているし、売り物にしている以上仕方がないけど。 「そうだよ。疑うなら見てみる? コンタクトならフチが見えるでしょ」  顔はあまり合わせたくない。  妄想がブチ壊されるので。ほかの男の顔なんて間近で見てしまったら。 「本物なんだから、触ったら痛いからやめてよ」  一応釘は指しておく。これは本当のことである。  じっと目を覗き込まれて、当たり前のように俺の目にも男の顔が映るけれど、なるべく見ていないように脳に言い聞かせた。別に見るに堪えない顔じゃないけど、玲也じゃない。それだけで俺にとってはどんな顔だろうと同じこと。 「本物みたいだね。フチなんて見えないや」 「そうでしょ」  満足したらしい。 「どっちが外国人なの? 何人?」 「母さんがドイツ人、あ、ちょっと……」  不意に愛撫が再開された。胸が撫でまわされる。  俺は適当に答えながら時々喘ぎ声を混ぜた。 「へぇ、レオくん綺麗なんだから、美人なんだろうなぁ」 「そう、だよ……っは、めっちゃ美人……っあ、そこ、……っ」  俺を触りながら男はどうでもいい会話をしてくる。俺はちょっと不満を覚えた。  なにも言わずに触ってくれるだけでいいのに。妄想させろよ。  会話なんかしたら妄想どころじゃない。しかしこっちも仕事だから、会話を要求されたら断れないのがつらいところだ。 「感度いいね。慣れてるんだ」 「んっ、気持ち、いいこと……好きだから……っ」 「いやらしいなぁ」  胸近くまで開けられれば乳首を触れる。最初から乳首を撫でまわされた。  ピンク色の乳首。撫でるだけではなく男の顔がそこへおりてしゃぶられはじめて俺はほっとした。口を使われればおしゃべりはなくなるから。  男の背中に腕を回す。そこで、お、と思った。  これは玲也の手触りに割合近い。  ふざけたふりを装って、ぱん、と叩いたりする玲也の背中。しっかりとした手触り。  カラダは良さそうだ。ちょっとおしゃべりらしいけど。  なので俺は手触りのほうに集中することにして、男に抱きついた。 「あ、っはぁ、ん……んぅ……」  舐められている乳首からの刺激よりも、頭の中の妄想に感じてしまう。  玲也に抱きついて胸を舐められている妄想。妄想は俺のカラダも酔わせて下が反応してきた。はじめの頃は男に触られて勃つなんてなかったのに。  今はちょっと刺激を与えられて頭に玲也のことを思い浮かべれば、しっかり反応してくれる。 「勃ってるね。気持ちいいんだ」 「そんなの……わかるでしょ、っひぁ!」  生意気な振りを装って、男の愛撫を促す。制服のタイトなズボンの上から撫でられた。ここは直接的な性感帯なので当たり前のように気持ちいい。 「直接、触って……!」  おねだりとか、してみたり。  おねだりはそのまま受け入れられて、慣れた手つきでベルトがほどかれてズボンが膝まで下げられた。パンツも下げられて握りこまれる。  はっきり気持ち良かったので、ここはあまり演技ではなく喘いでおく。 「はぁ、んっ、きも、ちいい、よ……っ、あ、そこ、すきぃ……」 「かわいいね。割とおっきいんだ」  こういうことだから、ネコのオトコノコのは小さいほうがいいなんて希望が多いけどそればかりはどうしようもない。元々小さいわけじゃないし、女の子を抱くときに使っているからそれなりに使いこまれているといえた。 「かわいく、ない……?」  でもこれだって、コンプレックスだ、なんて振りに使えるので悪いばかりではない。不安げに言ってやる。 「いや、レオくん結構身長あるもんね。それに、感じてくれるとこがかわいいから別に」  エラソーに、なんて悪態を内心つきつつも俺は快感に集中することにした。  こっちは相当下手なやつじゃない限りそれなりの愛撫をしてもらえるから、割合すぐイける。 「あ、もう、だめ、ぇ……っ!」  かわいく喘いで、体の欲求のままに精液を吐き出す。ぶるっと体が震えた。  一瞬の快感。余計なことを言われたせいで玲也に扱かれる妄想はほとんどできなかった。ちょっと残念。 「気持ち良かった?」 「ん……良かった……、俺もシてあげる……」  しょうがない、玲也のをしゃぶる妄想でもするかと俺は男のベルトに手を伸ばした。ほどいてそれを取り出す。  既にガチガチになっていた。それを手で撫でて、擦っていく。 「ん……上手い、ね……」  俺の髪に手が突っ込まれる。あんまりぐしゃぐしゃにされると困るんだけど、と思いつつも仕方ない。  竿を擦って、先端を撫でまわして。このあとの要求なんて決まっているので、俺はもったいぶるようにくりくりとくびれを刺激してやった。  う、と男が呻いて俺の手に自分のものを押し付けてくる。 「口でシてほしい……?」  今日はしゃぶる妄想がしたかったので、妄想させてくれる男にも多少いい思いをさせてやらなければ。俺は煽るように男を見上げた。 「ああ……」 「……サービス、してくれるぅ?」  払う金をだ。別に要りやしないけれど、このほうが生意気でいいだろう。 「ああ、お小遣い増やしてあげるよ」 「やった! じゃ……」  あーん、と口を開けて俺は男のものを咥える。先走りで青臭い味がした。  でもこれも目を閉じて玲也のものをしゃぶっている設定にすれば、気持ち悪くもなんともない。俺はむしろ積極的にしゃぶりついた。 『うっ、璃緒、きもち、いい……』  童貞のヤツは慣れていないから、俺がこんなことをすればすぐ気持ち良くなってくれるんだ。それですぐにイッてくれるはず。  ああ、シてやりたいなぁ。  俺のこと好きじゃなくていいから。  噛みしめながら俺は口の中のものに刺激を与えていく。 「うっ、ぁ……、はっ……」  上から男の喘ぎ声が降ってくるけど、聞こえないふり。 「レオくん、レオくん……っ、イくよ……!」 「ん……!」  ぐしゃ、と俺の髪が掻き乱されて、すぐにどぷっと口の中に精液が溢れた。  まったく、玲也はイくのが早い。  なかなかいい妄想をさせてもらえたので、お礼のつもりで俺はそれを飲み込んでやる。全部飲まずに、わざとくちびるのはしから垂れるようにして。 「ごっくんしてくれたの?」 「ん……にが……」 「かわいいね」  男は喜んでくれたようだ。きっと嬉しそうな顔をしている。俺の髪が撫でられた。 「零して、やらしいなぁ」 「全部飲めねぇもん……」  男の指が、くちびるのはしを拭う。  精液はマズかったけど、俺の心は割合満足した。

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