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シロクロメガネ④

 小さな箱が地下につく。  ポーンとなった到着音が間抜け。  通路は細い。部屋はふたつ。扉が並んでいて、向かいは壁。超閉鎖的。  「こっち」  だからそのウィンウィンを背中に押し付けるのやめろ。  言いたいのに言葉にならなくてメガネは両手を顔の高さに上げた。  「三者面談じゃないのかよ」  「三者面談?」  「シロが言ってた」  「3Pの間違いでしょ?」  やっぱり。  「確定なのか?」  不安げに問う。背中のウィンウィンが、脊椎の段差をなぞる。ぞわぞわともぞ痒いのが背中と腰骨を伝う。  「うあっ?」  尾骨の上、尻の窪みにバイブ。  「まあ、確定だよね」  クロはシロに比べて表情が乏しい。  乏しいというよりはシロが必要以上に表情をくるくると変えるというだけで、クロくらいが普通なのかもしれないが、そもそも系統の違う顔した双子だ。  母親の血を濃く継いだクロはシュッとした切れ長の和風美人。  アルビノと一緒に父方の血を濃く継いだシロは二重のぱっちりした洋風美人。  それでもお互い雰囲気がよく似ているのだから不思議。  その洋風美人が、使われていない旧書庫の扉の奥でパイプ椅子に座って待ってた。  学生服のズボンに包まれた長い足をぷらんぷらんさせる。  「三者面談おめでとー、メガネ」  「オメデトーじゃないし」  騙されてたのなんて鼻からわかっていたのに。  地下書庫の明り取りはない。  はめ込まれた照明が明るく照らしていて、シロは陽の光の元よりずっと健康そうに見える。  「さて、」  掛け声とともにシロはパイプ椅子から立ち上がり、床に散らばった和綴じ本を足先で退ける。  メガネはソレに少し眉を歪める。  くるりと椅子を返して座面をメガネに向ける。  「メーガネ、」  「ぅぃっ!」  ホップステップキッスでシロはメガネの唇にちゅってする。  クロの持ったバイブがぐりって尻の間にめり込む。  「エッチしよ」  極めて軽快。極めてポップ。ファストファッションにセックスってあるみたいな気軽さ。  むしろあれ。この双子にとっては組み込まれてる。  起床、セックス、洗顔、キス、食事、歯磨き、登校、国語算数理科社会セックス、部活、セックス、帰宅、キス、夕飯、入浴セックス、就寝セックスセックスセックス……。  もはや一日の締めくくりはセックスしかしてないみたいな。  「いてっ」  バイブが背中をひっぱたく。  そんな風に不機嫌全面に示されたって悪いのはメガネじゃない。どう考えたって被害者。  「とりあえずこっち座って」  左腕を取られてバイブが離れる。  クロは空いたバイブをオンのまま口元に持っていく。  唇がウィンウィンに合わせて歪んだ。

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