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シロクロメガネ③
さすが私立学校金に糸目はつけないよね。
みたいな国立図書館バリの学校図書館。最早この中だったら「いったけど会えなかった」が通じるんじゃないかと思いながらメガネは利用者カードを取りだし入館ゲートに差し込む。
キコーンって機械音。
改札機が開く。4類の棚近くの一番日の当たる席。
明らかに人目につく場所。
「う、を?!」
なもんだから、すっかり警戒を怠っていた。
「いらっしゃい、メガネ」
死角となった書架の影からクロが出てきて背中になにか押し付ける。まさか刃物じゃあるまいと思いながらも心音は大上昇。押し進められるカッコのまんま、メガネは非常階段へ歩かされる。
「おい、クロお前、まさか刃物……」
「え。そんなの持ってこないよ」
淡々とした、ともすれば冷たい声だ。シロ以外と話すときクロはあまり抑揚をつけない。
「ただのアナルバイブだよ。」
それももってくんなよぉぉぉお!!
「ここで制服毟って、アナル凌辱されながらドアボーイしたくなかったら大人しく着いてきて」
新しい。新しすぎるよ、その脅しかた。
しかも、背中でグラインドしてて落ち着かない。ウィンウィンいいながら脊椎グリグリ。
エレベータにメガネを押し込むとクロは躊躇いなく地下階のボタンを押した。
『職員以外立ち入り禁止』
の注意書は丸無視。
良い子ちゃんばかりのこの学校でそれは滅多に起こり得ない。
つまり、すでに地下の資料室は人払いができている。
……これ、話し合いじゃないだろ。
取り返しのつかないところまで来て思い至る辺り、メガネも本当は賢くないのかもしれない。
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