6 / 25
第6話
翌朝、あまり眠れなかったのか、直人はたるんだ瞼をしていた。
「大丈夫か、直人?」
「あんまり大丈夫じゃない」
そんな彼に、別れた彼女の話をするのは酷かとは思ったが、梓は切り出した。
「昨日の『2か月』の事だけど」
うん、と直人の眼が少し開いたので、梓は続けた。
「大体さ、僕たち10代の男女が付き合ったとすると」
デートして、手をつないで、キスして、触れ合って。
「……そして、エッチするまでに1か月~2か月だと思うんだけど」
ばッ、と梓は手でその口を塞がれた。
「朝っぱらから大声で、滅多な事を言うな!」
ひそひそ声の直人は、眼を見開いている。
「実は、その件で俺からも報告がある」
梓は驚いた。
てっきり直人は、脳を働かせる状態ではないと思っていたからだ。
「聞かせてよ」
「廊下では、ちょっと」
「じゃあ、放課後」
「それまで待てない」
ともだちにシェアしよう!