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第三章・28

「昨夜一緒だったんだけどさ、気が付くと先に部屋に入ってたよ。あいつ」 「やっぱり朝帰りかよ」 「相手は何人だろ。しかも一度に二~三人同時にやってたみたいだぜ?」 「まったくあの女好きが!」  話の内容から察するに、どうやらルドーニは昨夜妓館に行ったらしい。  朝帰り。  しかも一度に二~三人。  ヴァフィラのこめかみに、ぴきりと青筋が立った。 「ヴァフィラ」  背後から、突然抱きすくめられた。  この声は、ルドーニ。  何も知らないルドーニは、ヴァフィラの麗しい香りを胸いっぱいに吸うと、耳元で甘くささやいた。 「なぁ……今夜、部屋に行ってもいいか?」 「うるさいッ!」  ルドーニは盛大に吹っ飛ばされ、柱に激突した。  ヴァフィラの声の方が後で聞こえた。  光速の拳だ。

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