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第三章・27

 一夜を共にしても、ルドーニは人前では何事もなかったかのようにヴァフィラに接してきた。  相変わらず軽口をたたき、おどけ、たまに仕事の話を交わす。  それでも、ヴァフィラの胸の内にはひとつ、新しい気持ちが芽生えていた。  これからふたりで、その芽を大切に大切に育ててゆくのだ。  足取りも軽くなる。  ルドーニが病気だと聞いて落ち込んでいた気分が嘘のようだ。  そんなある日、ヴァフィラは他人の口からルドーニの名を聞いた。 「ルドーニのやつ、最近絶好調だよな」 「お前もそう思うか」  神殿の中庭にしつらえられたベンチに腰かけた、数名の武官たち。  知った顔だ。  よくルドーニと共にいるところを見かける顔ぶれだった。  ふふん、とヴァフィラは柱の陰で小さく胸を張った。    絶好調。  それはそうだろう。  何たって、この特効薬の私が彼を癒したのだから。

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