59 / 459
第四章 Heat!
腕組みをし、難しい顔をして、魔闘士ライファは一点を見据えピクリとも動かなかった。
周囲には他の12名のカラドの魔闘士、高等武官、そして女王まで揃っている。
ライファの見据える机上には、一枚の地図。
戦地ヴーヴェスに駒が置かれている。
ヴーヴェスに布陣されていた戦士たちは、全てライファの援軍到着を待たずに斃れた。
隣国カーラーンの奇襲を受けたのだ。
今後、ヴーヴェスをどうするか。
議論が開始されてからすでに数時間が経つ。
しかし、それぞれが思い思いの事を述べるだけで、一向に進展しなかった。
「ヴーヴェスは神話の時代から女神ラニマより賜った聖なる地。このままカーラーンの手に汚させておくべきではない」
「しかし、死守すべき地は他にも多い。今はヴーヴェスにこだわっている場合ではないのでは?」
「遺体の収容も満足に行っていないのだぞ!? 死者をこのままさらしておくつもりか」
「闇魔法の瘴気が未だヴーヴェスに濃く残っているはず。不用意に立ち入るのは危険だ」
ともだちにシェアしよう!