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第九章・15

 そんな防衛線が張られている事も知らず、ナッカはルドーニに茶色の小瓶を差し出した。 「はい、これ。俺からのプレゼント、っていうか、応援」 「はぁ?」  そこでようやく、ルドーニは芝生から体を起こした。  ナッカが渡してきた、手のひらサイズの小さな瓶。  何か液体が入っているようだ。 「これな、こないだオリオ村の行商から買った香料なんだ。紅茶に入れると、なんとバラの香りが拡がるんだぜ!?」 「バラの香り」  おうむ返しのルドーニに、ナッカは胸を反らせてウインクして見せた。 「だ・か・ら・さぁ♪ これをヴァフィラにプレゼントすればぁ? 忙しい合間を縫ってのティータイムなんて、ちょっとクラッとくるんじゃね?」  少々皮肉めいたその言いぐさは、ヴァフィラは今忙しい時期だから、と何のアクションも起こせない俺を笑ってのものなのか。

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