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第十章・14
修行どころではなかった。
まず、ルドーニは病気になった。
はしか、水痘、おたふくかぜ。
子どもがかかりうる、ありとあらゆる病気を患った。
こんな病弱な自分に、本人が一番驚いたものだ。
今まで、風邪ひとつひいたことが無かったのに。
病床のルドーニを、イジェスは温かく見守った。
今まで独りで生きてきたのだ。
病気などにかかっていては、即座に死に結びつく。
ルドーニの体が、病気を受け入れたことをイジェスは喜んだ。
弱っても、守ってくれる存在があるからこそ、人は病にもなれるのだ。
ルドーニが伏せることは、彼の心が自分を受け入れてくれた証として喜んだ。
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