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第十章・16

「添い寝、してくんない?」  人恋しい気分は最高潮に達し、夜ヴァフィラが長椅子に横になろうとした時口を突いて出た。  ふざけているのではない。  本気で言っているのだ。  それはヴァフィラにも伝わったようで、思わず振り上げたげんこつが途中で止まった。  げんこつを振り下ろす代わりに、額に手を当てる。  熱はずいぶん引いたようだ。 「仕方のないやつだな」  ぼやきながらも、床に入って来てくれるヴァフィラ。  抱き寄せ、体を擦り付けた。  甘い香りを思いきり吸い込み、ぎゅうと抱きしめた。  思えば一ヶ月近く触れ合っていないのだ。  久々のヴァフィラの感触。  腰をもぞりと動かすと、いたずらを咎められるように鼻の頭に軽くキスされた。  さすがにこの体で愛し合うことは、許されないようだ。  それでもヴァフィラのぬくもりを感じながら、眠りに就いた。  幸せを噛みしめながら、眠りに就いた。

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