242 / 459
第十章・16
「添い寝、してくんない?」
人恋しい気分は最高潮に達し、夜ヴァフィラが長椅子に横になろうとした時口を突いて出た。
ふざけているのではない。
本気で言っているのだ。
それはヴァフィラにも伝わったようで、思わず振り上げたげんこつが途中で止まった。
げんこつを振り下ろす代わりに、額に手を当てる。
熱はずいぶん引いたようだ。
「仕方のないやつだな」
ぼやきながらも、床に入って来てくれるヴァフィラ。
抱き寄せ、体を擦り付けた。
甘い香りを思いきり吸い込み、ぎゅうと抱きしめた。
思えば一ヶ月近く触れ合っていないのだ。
久々のヴァフィラの感触。
腰をもぞりと動かすと、いたずらを咎められるように鼻の頭に軽くキスされた。
さすがにこの体で愛し合うことは、許されないようだ。
それでもヴァフィラのぬくもりを感じながら、眠りに就いた。
幸せを噛みしめながら、眠りに就いた。
ともだちにシェアしよう!