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第十三章・19

 真実を織り混ぜて一部分は誇張しつつ、色事は隠す。  ニコルスの思いやりを前面に押し出しつつ、その勘違いは伏せる。  この2点を見事にシンクロさせたルドーニの説明に、ヴァフィラはすっかり感心して、うんうんと頷きながらパイを食べていた。 「やはり先生は、私の事を思ってくれていたのだな」 「そりゃあもう、他でもないヴァフィラのことだから」  後はにこやかに、お茶の時間を楽しんだ。  心なしかヴァフィラの青白かった顔に、赤みがさしたような気がする。  全く、うなぎパイ様さまだ。 「私ばかり食べているな。ルドーニも食べてくれ」  ヴァフィラがあんまり喜ぶものだから遠慮していたルドーニだったが、彼から勧められたなら少しだけいただこう。  だが、この『うなぎパイ』を一口食べたルドーニは、嫌な汗を一筋流した。 (……この味は!?)  さりげなく菓子箱に手を伸ばし、栞に眼を通す。  そして、いくつかの問題点を発見してしまったのだ!

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