338 / 459

第十三章・32

 しかし次の瞬間には、もう笑顔に戻るヴァフィラなのだ。 「……解かったなら、もう一口」 「は~い♪ ってゴメン。無くなっちゃったぜ」  デザートに果物がある、と椅子から立ち上がったルドーニに、ヴァフィラは注文を付けてきた。 「まだ残ってるだろう? あれが食べたい」 「あれ、って?」 「……うなぎパイ」  おいおいおい、とルドーニは笑った。 「あれは『夜のお菓子』だぜ? 今は朝だろうがよ~」 「昨日だって、ティータイムに食べたじゃないか」  はいはい、とルドーニは改めて返事をした。  まったくヴァフィちゃんったらすっかり大人になっちゃってまぁ♡ (と、なると。『夜のお菓子』を深読みするようになったのかな?)  本当に本当の意味を、もう一度しっかり教えてあげなきゃな、とヴァフィラより少しだけ大人なルドーニは頬を掻いた。

ともだちにシェアしよう!