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第十四章・14

「医療においては、唾液、精液、体液は血液と一緒だと聞いた。ルドーニ、お前は私と愛し合えば愛し合うほどこの毒の血液を体内に入れてるんだぞ? それでお前が死んだら……、死んだら……」  それきり黙って、ヴァフィラはルドーニの胸に顔をうずめて震えている。 「……ヴァフィラ。その情報はどこから仕入れた?」 「ナッカの教科書に」  またアイツか、とルドーニは、ここにはいないナッカを呪った。  自分もぶっ飛んだ、あの一文。  ナッカが、不用意に見せてしまったに違いない。  何にせよ、今までなら『別れる』と切って捨てるような言い方をしていたヴァフィラが、ここまで自分を曝け出し素直になっている。  ここはこちらも正直に話すのが、フェアというものだろう。  冷静になれば馬鹿げた考えになってしまった作戦を、ルドーニはヴァフィラに告白した。 「さっき俺が飛び込んできた時、いきなり『寝よう』なんて言ったよな?」 「うん……」 「実はさ、もっと耐性をつけなきゃな、って思ったンだよ」 「耐性?」 「精液や体液が血液と一緒だ、って言うんなら、もっともっと飲んで舐めて、体の中へ取り込んで」  は、とヴァフィラは顔を上げた。 「まさか、それで毒を克服しようと」 「当たり」

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