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同居人は料理が美味いけど、俺は料理を食べるのが上手い(8)

翌日、盛山は起きてメッセージを確認したが、返信はなかった。 泊まり込みの集中講義なので、細川はメッセージなど見ている暇もないのかもしれない。細川が最終日に何時に帰ってくるのかも、盛山は分からなかった。 ただ、いくら細川と同居しているとはいえ、盛山の交友関係がそこで閉じているわけではない。 この日、盛山は学部の友人と集まってボーリングに行く予定があった。細川のいない寂しさが少しだけでも埋まるかもしれない。 盛山は朝ご飯のミートパイを味わってから、炊飯器のタイマーをセットして家を出た。 ボーリングは楽しかった。盛山はスコアは振るわなかったが、友人とハイタッチしたり存分に動いたりしたので、高揚感と達成感に満ちていた。帰り道も幸せに包まれていた。 けれど、帰宅するとどうしても、この楽しさを共有したい「誰か」のことを考えてしまう。 友人とはメッセージアプリで繋がっているし、写真だって送られてくる。嬉しいけれど、細川がいないことに変わりはないと盛山は思い知らされた。先程まで楽しかった分、落差が激しい。寂しさが倍加している。 動いて疲れて腹が減ったから、気が弱っているのかもしれない。盛山は昨日の残りのカレーを冷蔵庫から出して火にかけた。念のために混ぜて火を全体に行きわたらせる。あのスパイシーな香りが盛山を包み込んだ。 皿に盛って食べ進めると、やはり深みと苦味が絶妙にマッチしている。食べるのは二回目なのに、色あせない美味しさだ。皿の中身はすぐに空になった。

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