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オレは恋人と先へ進みたい(4)

「今日、試してみないか?」 容器を握りしめる健の両手を上から包み込む。ローションを受け取って、徐に床に置いた。 「……それは、今からじゃなくて?」 「風呂入った後で。指入れるのも、不安かもしれないけどオレにやらせてほしい。痛みは肩代わりできないけど、一緒にいることはできる。一人で辛い思いしないでくれ」 健は視線を彷徨わせた後、目を閉じて考え込んでいた。ぱちぱちと瞬きをしてから、確固とした意志を持って賢太郎を見据える。真剣な顔も可愛いな、と思った。恋人の贔屓目かもしれない。 「分かった。やってみる。やってみよう」 「ありがとう」 「ううん。だって、上手くいかなくても好きでいてくれるんだよな?」 「当然だろ」 健は真剣な顔を崩して、甘えた声で笑いかけてくる。胸に抱き留めて頭をわしわしと撫でると、濡れた毛が纏わり付いてくる。 「今日は、何だか大丈夫な気がする。また落ち込んだときは、慰めて、好きだって言ってくれよ」 「ああ。好きだよ」 「……まだ落ち込んでないんですけど」 照れ臭そうな顔の健には先に湯船に浸かってもらい、賢太郎は頭や身体を一通り洗った。 浴槽に身を沈め、健を足の間に収めて後ろから抱き、その肩に頭を乗せる。お湯の中で肌と肌が触れあう。歓喜の溜息が漏れた。ずっとこうしたかった。 家だと浴槽に湯を張ることもほとんどなかったし、もし張ったとしても湯船の中で足を折り曲げることしかできなかった。今も足を伸ばしきることはできないけれど、開放感があってリラックスできる。 もう少し密着したくて健を引き寄せると、気の抜けた叫びが上がった。 「そんなに驚かなくてもいいだろ」 「……何とは言わないけど当たったから」 「それは生理現象だから仕方ない。恋人と裸で密着してるんだから」 首筋に頬を寄せると、健も首を仰向けてくる。微睡みの中に居るような、蕩けた焦点の合わない瞳が賢太郎を映した。少し冷めた唇を合わせると、いつもよりぬるぬるしていて心地好い。舌が抵抗なく健の口内に導かれる。くぐもった声が反響して、ますます身体の中心が反応した。

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