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第1話 村の教会

私の名前はアルフレッド。 この村ではアルフレッドという名前ではなく、『神父様』のほうが馴染みがいいだろう。 私をアルフレッドと呼ぶ村人はいない。 神父と言っても、この村ではあまり私の役割は冠婚葬祭と懺悔にくる悩める子羊の相談以外は何もなかった。 そんな小さな村の小さな教会だ。 「神父様」 この美少年は村長の息子のセドリックだ。 「セド、今日は何をしにしたんだい?」 セドリック、通称セドは時間が空くと教会に来ていた。 「ピアノ弾かせてほしくて」 「君の家にもピアノはあったはずだけど、どうして僕のピアノがいいんだい?」 「神父様のピアノはグランドピアノだし、響きが良いから弾かせてほしくて……」 セドは一ヶ月後に村を出て町の音楽学校に行くことになっていた。 その前にグランドピアノで練習したいのだろう。 「神父様のように上手く弾けないけど。それに、……神父様に僕の曲を聞いてほしいんだ」 セドは可愛い。 女の子のように可細い指先が、少し硬いピアノの鍵盤を一生懸命に抑え、その指が踊っているようで。 見ている私も心が弾むような気分になる。 そんなピアノ奏者が村を出るのはあと少しだから、聞くチャンスはあまりないだろう。 「いいよ。おいで、セド」 私はグランドピアノが置いてある自室に案内をした。

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