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第2話 私のグランドピアノ

教会の礼拝堂には、ミサ等に使うパイプオルガンがある。 けれどこれは神に祈りを捧げるときに使うもの、と私は決めて使っていた。 礼拝堂の右にある台所を通り、私の部屋に行くと、 そこに小振りのグランドピアノが置いてある。 私が洗礼を受けたときの記念に全財産はたいてグランドピアノを購入した。 そのピアノが私の部屋にあった。 セドの言っていたグランドピアノはこれなのだ。 「好きなだけ弾いていきなさい」 「あのっ、……神父様が弾いていらっしゃるところを見たいです!!」 セドは私を見上げて言った。 私は人前ではピアノは弾かない主義なのだ。 パイプオルガンを弾く以外は、人前では演奏しないことにしていたのだ。 けれど旅立ちが控えているセドには、私のピアノの演奏を見せてもいい、そんな気分になっていた。 「私はあまり人前で見せれる程度ではないよ」 「でも、僕は教会から聞こえてくるピアノの音を聞こえると安心します!!」 こう言われたらもう弾くしかなかった。 「何を弾こうか」 「……優しい曲がいいです」 優しい曲、と言われて一番私が好きな月光を心を込めて演奏した。 その日から一ヶ月、セド……セドリックは町の音楽学校の進学の為、村を去った。 このとき私は22歳、セドリックは12歳だった。

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