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第3話 事故
セドリックが町の音楽学校に進学してから五年後、村長の娘さんが馬車に跳ねられ亡くなられた。
姉の葬式だというのに、セドが村に帰ってくることはなかった。
私は優しいセドのことだから、泣きながら帰ってくると思っていた。
けれどご遺体を見て、セドが帰って来なくて良かったと私は思ってしまった。
ご遺体の顔がへしゃげていたからだ。
感受性の豊かなセドには見せたくないご遺体だったのだ。
神のもとに逝った彼女のために、彼女の弟のぶんまで私は祈りを捧げた。
どうか安らかにお眠りください……。
そして、その後に村長から町にいるセドの話を聞いた。
セドは演奏中ピアノの鍵盤の蓋閉まり、指を挟み骨を折っていた。
ピアノの試験練習中の事故だったらしい。
ピアノが好きなセドリックは、事故でピアノが弾けなくなっていたらしかったのだ。
だから息子はきっと村には帰ってくることはない、村 長は娘と息子を手放ししてしまったと悔やみ泣いていた。
この春の時期、丁度町の教会に行く用事があった私は、町に住んでいるセドリックを訪ねてこようと考えていた。
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