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第26話

 ピロートークもそこそこに、睦はタオルを取ってきて拭いてくれる。隙あらば甘えてきて二回戦をねだる彼になんとか流されないよう堪え、いちゃいちゃしていたら昼過ぎになっていた。  狭いシングルベッドの上で他愛のない会話をしながら、横になったり隣に並んで座ったり……我ながらよく飽きないものだ。ふと、ベッドの上に転がっていたコンドームの箱が目に入り、八戸は引っかかっていたことを思い出した。 「むつきゅんさ、童貞だって言ってたよね」  横になっている八戸の足元で睦が下着姿で膝を抱えていた。曖昧に返事をする彼にさっき疑問に思ったことを口にした。 「どうしてゴムの箱開いてたの?」 「えっ、なんで知ってるんすか!」 「鞄開けた時、見えた」  DVDを取り出した時に見えたのだ。一番手前に堂々と入れていたのに、この狼狽。彼は意外と抜けている。  睦は言いづらそうに視線をそらして、膝小僧をすり合わせている。 「それ、絶対言わなきゃ駄目すか」 「言えないならいいけど……」  箱が空いていた理由など、一つしかない。  八戸はXLと書かれたそのパッケージを眺めた。  どう使ったかは予想するしかないが、万が一、彼がこのセックスのための『練習』に使ったとするなら、それは浮気に値するのだろうかと自問する。  そんな悶々とした八戸の顔を見てなにか悟ったのか、睦は慌てた様子で否定した。 「いや、浮気とかしてねぇから!」 「ふぅん」 「……練習したんすよ、付けるの」 「誰と?」 「誰って……一人に決まってんじゃん……」  睦は膝を抱えたまま項垂れて白状する。 「こんなん失敗したら恥ずかしいじゃないすか。俺、浮気とかしないんで……」  八戸は項垂れた彼の頭をくしゃりと撫でた。 「疑ってごめんね。むつきゅん、モテそうだから」 「そりゃ、モテるけどさ」  そこは否定しないのか。  確かにこんなイケメン、周りが放っておかないよな。ちxこもでかいし。鬼に金棒とはこのことだ。  しかしそんな鬼にも不安なことはあるようだった。 「八戸さんの方が危なっかしいすよ」 「俺? モテてないよ?」 「親方にベタベタ触られてるじゃないすか」  思いも寄らない人物が出てきて、八戸は吹き出した。それにしても見てないようでよく見ている。 「あの人は誰にでもああでしょ。それに肩を叩く程度だし」 「次からは避けてください」 「無茶言うなよ……」

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