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第8話

 好きだ、と言いたくても言えなかった、中学三年間。  卒業を機に、思いきって告白した。 「実は俺、遥人のことが好きなんだ」 「? 僕も、たっくんのこと好きだよ?」 「いや、そういう好きじゃなくって」  付き合ってくれ、と顔を真っ赤にして下を向いた拓に、遥人はようやくその真意に気づいた。 「たっくん、いつから……?」 「小学5年生くらいから」  えと、あの、と遥人は口をもごもごさせていたが、やがて恥ずかし気に返事をくれた。 「僕も、たっくんのことが大好き」 「え!? じゃあ」 「付き合っちゃおうか、僕たち」 「あ、ありがとう!」  最高の、高校生活が始まるんだ!  遥人と一緒に、登校して。  遥人と一緒に、勉強して。  遥人と一緒に、部活して。  遥人と一緒に、下校するんだ!  拓の、バラ色の青春が始まった。

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