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第38話

「柳 遥人くん」 「先生、僕の苗字は『梁川』です」 「ああ、すまない。そうだったな」  これでは遥人は、過去を思い出さないらしい。 「私の名前は、『結城 拓』だ」 「さっき、HRで教えてくれたじゃないですか」 「ああ、すまない。そうだったな」  これでも遥人は、過去を思い出さないらしい。 「よろしく。握手をしよう」 「いいですけど」  握られた手から伝わる、温かな体温。  それでも遥人は、過去を思い出さないらしい。  

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