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第44話

「たっくん、ずっと待っててくれたんだね」 「思い出してくれて、ありがとう遥人。ありがと……」  ヤだなぁ、もうオジサンのくせに、泣かないでよ。  そう言う遥人の眼にも、涙が溢れている。  もう一度抱き合い、静かに口づけを交わした。  15年ぶりの、キス。 「愛してるよ、遥人」  あの時には言えなかった言葉を、拓はようやく口にした。  よく晴れた3月の日のことだった。

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