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第43話

「ビールなんか飲んじゃって……、不良……」 「遥人?」  身体を離して、拓は遥人を見つめた。 「たっくん……、たっくん!」 「遥人!」  かじりついてきた遥人を、拓は折れるほど抱きしめた。  思い出してくれたんだ。  遥人が、帰って来たんだ! 「苦しいよ、たっくん」 「ご、ごめん」  拓は腕の力を緩めたが、遥人の身体を離しはしなかった。  そうすると、また彼がどこかへ行ってしまいそうで怖かった。

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