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第14話 ミツバチと恐怖のぷるぷるモンスター!

 あれは、確かいつかの夏休み。みんなで海に行ったんだよね。  最高の夏休みだし、せっかくの海だし、何よりみんなで健全に盛り上がろうという理由から、今日だけはHなことは無しっていうルールが設けられたんだ。  俺はみんなと海で思い切りはしゃいで、お昼に美味しいバーベキューとアイスを食べて、浜辺で昼寝をして、ルール通り最高の夏休みを過ごしていた。  そうして遊んでる最中、俺は急にどうしてもトイレがしたくなってみんなから離れたんだ。海の家のトイレは長蛇の列が出来ていて、今から並んで自分の順番を待つなんてとてもできないくらいに急な尿意だった。 「蜜羽、どこ行くんだ?」 「ちょ、ちょっと宿に忘れものしたから、取って来る」 「ヘビに気を付けろよー」  確かここに来るまでの間の道路の脇に、簡易トイレがあった。列に並んで順番を待つよりは、そこまで走って行った方が早い。  そう思って、俺は道路への近道になる草むらに飛び込んだ。  そこで、ソイツと出会ったんだ。 「わ、……何だこれ?」  草むらの中にいたのは、透明な水色のぷるぷるした物体だった。誰かが捨てたクラゲの死骸かと思ったけれど、クラゲにしては大きすぎるし、死骸にしてはみずみずしくて、しかも動いているようだった。 「………」  俺はソイツにそっと近付き、落ちていた棒きれでつんつんしてみた。するとソイツはぷるっと震えて、そのまま俺の方を向いた……ように見えた。  そして次の瞬間、俺めがけてソイツが飛び掛かってきたんだ。 「うわっ、……!」  体にまとわりつくソイツを見て、俺は小学生の頃に工作で作ったスライムを思い出した。ぷるぷるで透明な水色で、あの感触が気持ち良くてずっと遊んでいたっけ。体にくっつくからクラスの男子達は「おっぱい!」とか言いながら胸に付けたそれを揉み合っていた。  ……って、そんな思い出はどうでも良くて。 「な、何だよっ? これ、生きてる……!」  俺の胸からお腹にかけてぴたりとくっついたソイツが、もぞもぞ動きだして。 「わっ、あ……なにっ……? やっ」  不思議な匂いがして、それを嗅いでいるうちに段々気持ち良くなってきて、立ってられなくなって……。 「は、ぁ……」  俺はその場に尻もちをつき、必死になって体のスライムを剥がそうとした。 「や、やめて……!」  だけどソイツは離れるどころかますます俺の体に密着して、伸びたり縮んだりしながら俺の体を弄るように蠢いて…… 「あっ!」  あろうことか、俺の水着の中にまで潜り込んできたんだ。  にゅるにゅる動くソイツが、水着の中で俺のペニスにまとわりつく。気色悪さもあったけど、握ったり弛めたりされているみたいで意外に気持ち良かったのを覚えている。  そうするうちに水着が脱がされて、俺は草むらの中で全裸になってしまった。 「やっ……やだ!」  何かよく分からないけど、ソイツは俺の体を啄んだり吸ったり舐めたりしているようだった。全身に鳥肌が立ったのは、その頃には怖いよりも完全に気持ち良くなってしまったからだ。 「あ、あん……。マジで何なんだよ、お前……あっ!」  水色のぷるぷるが俺の乳首にぴったりとくっついて、そのまま吸引するように動き始めた。何だか乳首を舐められながら吸われているみたいで、その初めての感覚に俺の体は震えていた。 「やっ、……こ、こいつ……俺のちんこ、吸って……!」  いつの間にか二つに分裂していたソイツの片方が、俺のペニスの先端から根元までを包み込んでいた。  粘り気のあるにゅるにゅるのゼリーにフェラされているみたいだ。ペニス全体を揉んだり扱いたりしているのに、先端の割れ目のところだけちろちろと舐められているような感覚。そこだけスライムが人のベロの形になっているみたいだった。 「あ、ああ……それ、気持ちいいっ……もっとして……! ……ふ、あぁっ、もっと……!」  俺の言葉に反応しているのか、ソイツが俺のペニスの先っぽを高速でぺろぺろし始めた。人の舌じゃとても再現できないほどの速さだ。先端にローターをあてられているみたいな気分になって、腰が砕けてしまう。  俺はここが外であることも、コイツが得体の知れない生き物であることも忘れて、全裸にビーチサンダルを引っかけたままはしたなく大股を開いて喘いでいた。 「ああぁ……にゃにこれ……きもちい……、あっ、……あっ……ちんちん、もっとにゅるにゅるして……」  あまりの気持ち良さに俺の目はハートマーク状態で、この際、言った通り動いてくれるスライムとこの時間を楽しむことにしたんだ。 「ふああぁ……ぜんぶ、すわれてる……」  俺が感じるところ全て、ソイツが覆ってにゅるにゅるしている。  そうしているうちに変幻自在に形を変えるソイツがしゅるしゅると俺の体に巻き付いて、仰向けになっていた俺を四つん這いの恰好にさせた。 「わ、……ちょっと、お、お尻まで……やめっ……」  やめてと言いながらちょっと期待してしまったんだけど、ソイツは俺のお尻の表面をぷるぷるするだけで、中に入ってこようとはしない。  その代わり、突然ペニスの吸引が激しくなった。 「やっ! あ、……! だ、だめ……! そんな強く……あぁっ!」  体の色々なところにまとわり付いていたソイツが一か所に集まって、伸びたり縮んだりするうちに、四つん這いになった俺の下で大きな楕円形のスライムになった。地面から足が浮き、俺の体はソイツの上でうつ伏せの状態になる。 「うあっ、あ、やあぁっ!」  どうやらソイツはデカくなればなるほど力も増すようだった。その巨大なぷるぷるの中にペニスだけを突っ込んだ状態で、俺はソイツにしがみついたんだ。 「ひっ、――あぁ!」  透明な青いぷるぷるの中で、俺のペニスが激しく吸われているのが分かる。吸われているのに先っぽだけは相変わらず物凄い速度で舐められている。 「そんな、されたら、ぁ……!」  もう我慢できなくて、俺はソイツにぷぎゅっとしがみつき、……ずっと耐えていた尿意を解放してしまった。 「は、あ……あぁ……ご、ごめんね……。おしっこ出ちゃった……」  透明なぷるぷるの中を、俺のそれが注がれていくのが何となく目で見て分かる。気持ち良さにぼんやりしてしまった俺だけどソイツはまだまだやる気満々の様子で、今度こそ俺の尻に忍び寄って来たんだ。  俺を上に乗せたまま、ソイツの一部が勃起したペニスみたいな形になって、俺の入り口をつんつんし始める。 「え、あ……だめ……、今は、まだ出てるから……」  ずっと我慢していたからか、まだおしっこが止まらない。なのにソイツはこの時ばかりは俺の言葉を無視して、…… 「――ああぁっ!」  一気に、俺の中に突っ込んできたんだ。 「やぁっ、あ……! ちょ、……あぁっ! 何これ、ああぁっ!」  ぷるぷるのくせに、俺の中をズンズン突いてくるソイツ。自分自身がローションの役割を果たしているからか痛みは無かったけれど、中で形が変わるために俺の弱いところばかりを的確に狙って攻められる。 「ああっ、や、やだ、そこ……! ごりごり、しちゃ、あぁっ……!」  後ろからめいっぱい激しく突かれて、俺は必死で体の下のソイツにしがみついた。奥の奥までかき回されて意識が弛み出し、それこそスライムみたいに頭の中がとろとろしてくる。 「ああぁ……きもちい、おしりっ……やばいぃ……!」  そうして同時にソイツの中に突っ込んだままの俺のペニスがぢゅこぢゅこ吸われて、前も後ろも訳が分からないくらいに気持ち良くって……俺は涎を垂らしながら、もはや愛しくて堪らないソイツを思い切り抱きしめた。 「あっあ、あっ……もうだめだ……! 頭おかしくなっちゃ……あぁっ、あんんっ! イく――」  そうして思い切り放出させた俺の白い体液が、透明のソイツを濁らせた――。 「蜜羽っ!」 「え……?」  はっとして目を開けると、そこには一緒に遊びに来ていたみんなの顔があった。 「大丈夫か、蜜羽っ!」 「あんまり遅いから心配して来てみれば……」 「お前、……だ、誰かに……乱暴されたのかっ?」  俺は全裸で草むらに転がっていたらしい。あのぷるぷるのことをみんなに聞いても「見ていない」と言われて、体に触ってみても変なべたつきは残っていなかった。  ――もしかして、H禁止のルールで気付かないうちに欲求不満になった俺の、夢だったのかな?  結局アイツが何だったのか今でも謎のままだけど、一つ確かなのはあれだけ切羽詰まっていた尿意がその時にはすっかり消えていたということだ。  それが俺の、とある夏の思い出。  最初で最後の、Hで不思議な初体験。  困ったのは地元に帰ってからもあのぷるぷるが恋しくて、しばらくスライム集めに夢中になってしまったことだ。  第十四話・終

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