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第13話 ミツバチとあやしい催眠術
セックスドラッグというやつは違法だったり粗悪だったりで、リスクが高くてとても使えない。
ましてそんなものを蜜羽に使ったとなると、後でバレた時に袋叩きに遭うのは明白だ。
だけど、いつもと違うセックスを楽しみたいというのは人間なら誰もが思うことだ。
ドラッグが使えないなら、何か代わりになるものがあるだろうか?
そんなことを考えて考えて考えてばかりいたら、ある日、俺の中で意外な才能が開花した。
「催眠術? すごいじゃん、#銀吾__ギンゴ__#!」
「だろ? クラスの奴にかけたら犬になったり猫になったり大騒ぎになっちまってさ」
「すっげえ! どうやって習得したの?」
蜜羽が目をきらきらと輝かせて俺を見ている。ちっとも疑いを持っていない、子供のように純真無垢な瞳だ。
場所は蜜羽の部屋。生徒の誰かが作った「お取込み中!」の札をドアノブに下げてきたから、邪魔が入ることもない。
「本読んで、ネットで研究して、『潜在パワー解放』の動画見てたらいつの間にかさ」
「お、俺にもかけてみて! かかってみたい!」
「いいぞ」
蜜羽をベッドに座らせ、リラックスできるように目を閉じ深呼吸させる。
「よし」
それから俺は蜜羽の前に人差し指を突きつけ、指の先端を集中して見るよう言った。
「蜜羽。お前の意識は段々と深い海の底へ落ちてゆく。とても気持ちいい、最高にリラックスした状態だ」
「………」
「そうして次に俺が指を鳴らすと……蜜羽、お前は……」
「………」
「男が好きで好きで堪らないド淫乱のAV男優になる」
――パチン。
「………」
「……蜜羽?」
「銀吾……」
俺を見つめる蜜羽の目がとろりと溶けて、頬がピンクに染まっている。意味ありげな笑みを浮かべた唇を舌で舐め、しなを作って俺を上目に覗き込んでいる。
「蜜羽……」
「我慢できないの、銀吾。気持ちいいことして……」
恐らくあまりAVなんて見たことがないであろう蜜羽が想像した、蜜羽なりの「男好きなAV男優」。
どうやらそれは、俗に言う「誘い受け」というものらしい。恥ずかしがりながら「来て……」的なことを言うかと思っていたが……いや、この際どんなものでも構わない。
「蜜羽~」
初めからビッチな蜜羽というのも新鮮で可愛いじゃないか。
俺は蜜羽の胸に顔を埋めてシャツ越しに何度も頬擦りし、その甘い香りをめいっぱい吸い込んだ。
「はぁ……蜜羽。愛してるよ」
「甘えん坊だね銀吾。……おっぱい吸う?」
「んー……吸いたい。蜜羽の乳首、下からちゅうちゅうしたい」
「仕方ない子だなぁ」
仰向けに寝た俺の上に、シャツを脱いだ蜜羽が覆い被さるようにして体を倒してくる。勿論、顔の部分に胸がくるように、だ。
「はぁ、あ……下から乳首ちゅうちゅうされるのって、あっ、……何かエッチだね……」
「搾乳スタイルってやつだな。はぁ、蜜羽のおっぱい美味しい……」
「あん……、ん、や……」
乳首を舌で上下に転がすと、蜜羽が俺の頭を撫でてくれた。吸えば体がキュッとなって、寂しそうに順番待ちしている反対側の乳首をレロレロすると弾けるような声が降ってきた。
「ぎ、銀吾……あっ、あ! やあぁっ……」
「舐められるの好き? 吸うより?」
「ち、違う……どっちも好きだけど、俺、……あぁっ」
ふと気付いた。
蜜羽がせっかくド淫乱になってくれてるのに、いつものように俺が攻めてたら意味無いじゃないか。
気持ち良くなるととろけ出す蜜羽が可愛くて、ついつい忘れるところだった。
「はー、ごめんよ蜜羽ちゃん。お前が好きなようにしてくれていいからさ」
「ふあ、あ……俺に、任せてくれるの?」
「ああ、好きにしていいぞ。勿論、舐めて欲しいなら舐めるし」
「………」
蜜羽の目に誘い受けの光が戻ってきた。小悪魔スマイルで俺の顔を覗き込み、囁かれる。
「ちんちん舐め合いっこしよ?」
──催眠術、バンザイ。
ベッドの上。体を反対向きにして俺の上を跨いだ蜜羽が、剥き出しになった俺のそれを握ってキスをする。
「銀吾のちんちんって、カッコいいよね。武器みたい」
「はは、何だそれ。蜜羽ちゃんのは相変わらず可愛いな。勃ってるのもいいけど、通常時のぷるぷる具合が最高」
蜜羽が笑って俺の上で腰を振り、ペニスを揺らした。
「シックスナインてさ、反対側から咥えるから口に入りやすいよね。喉の奥まで入っちゃう……」
ずぶずぶと俺のペニスを咥え込んで行く蜜羽。
「お、お、おお……最高……」
熱くぬるついた口の中から奥の狭いところへ入って行く感覚に、俺は腰を浮かせて声をあげた。蜜羽のディープスロートはもはや魔法だ。どこまでも呑み込まれて行くようで腰が砕けそうになる。
「やっべえぇ……蜜羽、ちんこもげる……」
「んん、……ん。我慢汁すごいよ銀吾」
「そりゃそうだ、そんなすげえバキュームされたら当然だろ。イかねえだけ褒めてくれ」
「……ここは?」
ペニスの先端を吸いながら、蜜羽が俺の玉を優しく揉んだ。
「うおぉ、それやべえ……蜜羽ちゃんそういうのどこで覚えてくんの……」
「銀吾が前にしてくれたじゃん」
「そ、そうだっけ?」
「そうだよ。ねえ、俺のもしてよ。ほらほら」
「んー、ぷるぷる可愛い」
下から蜜羽のペニスをぱくっと咥え、そのままちゅぽちゅぽと音をたてる。先端を味わうように舐めながらしゃぶると、蜜羽が俺の上に体を倒して「あああぁ……」と蕩けた声をあげた。
「あ、ん……先っぽ気持ちいい……銀吾、もっと吸って」
「ここ吸うと美味しい汁いっぱい出てくる」
「はぁ、あ……、あん……。そ、そこ吸われると……きゅんてなる……」
数ある蜜羽の弱点の中でも上位に位置する、ペニスの先端、の穴。
俺もここを攻めるのが好きだった。この小さな穴から蜜羽の我慢汁やら精液やら小便が垂れてくると思うと、愛しくて何時間でもしゃぶっていたくなる。
更に――
「あっ! あぁ……だ、だめ……そこ同時は駄目っ……!」
探り当てた蜜羽の尻の穴に指を突き立て、入り口をくすぐってやる。そうすると興奮した蜜羽のペニスからもっと汁が垂れてくるのだ。
「蜜羽ちゃん、ちんちんからヨダレ垂らしてはしたないですよ」
「あっん、……喜んでるくせに……銀吾のだってすごい硬くなってる。――ん」
「うあー、すっげえ幸せ……」
時間を忘れしばらくお互いのそこを愛撫し合った後で、蜜羽が「よっせ」と身を起こした。
「銀吾、ちんちん挿れて……?」
いつもより色っぽい顔で俺を誘う蜜羽。俺は鼻息を荒くさせながら転がった蜜羽の両脚を持ち上げ、その間に自分の腰を入れた。硬い先端で蜜羽の穴をつつき、ゆっくりと中へ差し込んで行く。
「ふあ……」
「淫乱でも何でも、蜜羽の中がキツくてアツアツなのは変わりねえな……」
「んん……あ」
ゆっくりと奥まで侵入すれば、蜜羽が気持ち良さそうに目を細めて身をくねらせた。白くてきめ細やかな、汗で湿った肌。熱を持ちほんのりと桃色に染まった頬。半開きの唇。
「あ、あん……ん」
「綺麗だぜ蜜羽。お前が気持ち良さそうにしてくれると、俺も嬉しい……」
蜜羽の脚が俺の腰に絡み付く。抱きしめて欲しい時の合図だ。
「愛してる蜜羽っ……」
「あ、あっ! きゅう、に……激しっ……! あぁっ、んン……!」
何度も腰を打ち付け、蜜羽の中の奥の奥をめいっぱいに突き上げる。腰の動きに合わせて声を弾けさせる蜜羽を強く抱きしめ、俺は一心不乱に蜜羽の中を愛撫し続けた。
「あぁっ、あ、気持ち、いいっ……! お、奥のとこ、もっと、ぉ……!」
「……蜜羽、突かれながらイッてる?」
体を上げて見ると、反り返った蜜羽の先端から白濁液が飛んでいた。
「トコロテンしちゃうくらい良かったか」
「ぎ、銀吾も……あっ、俺の中で、……」
「ん。そろそろ、……だ、な!」
俺は歯を食いしばり、蜜羽の体を再び強く抱きしめた。
「あ、熱い、のが……あぁっ」
「……あー、マジ最高……」
「……蜜羽ちゃん。お前、催眠術かかってなかっただろ」
「え、催眠術って何のことだっけ……?」
俺は力無く溜息をついて、俺に抱き付き眠そうにしている蜜羽の頭をぐりぐりと撫でた。
結論としては、蜜羽にはセックスにおける催眠術なんて必要ないということだ。
「蜜羽。……次に俺が指を鳴らしたら、お前はネコになる」
「ん、……?」
――パチン。
「ふ、……ニャ」
「ネコミツちゃん、可愛いよ」
「フギャアアァァ――――ッ!」
「いっでええぇぇ――ッ!」
蜜羽の爪で顔面を引っ掛かれた俺は、のたうち回りながらベッドから落下しケツを打つはめになった。
その後お互い全裸の状態で、俺VSネコ蜜羽の壮絶な戦いが繰り広げられることになるのだが、それはまた別の話なので今回は省略する。
第十三話・終
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