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第13話
大人なんだから。
本音を抑えた行動をしなきゃ、功にふさわしくないんだから!
「薫、話を聞いてくれ。さっきのアレな、実は」
泉は頭の中で、思い浮かべていた。
強い行動を。
弱々しい僕の本当の気持ちなど、かき消してしまうほどのアクションを!
「問答無用ーッ!」
「ぎゃああ~ッ!」
ドガッ! と派手な炸裂音と共に泉に蹴り上げられた佐野は、青空へと消えていった。
(ごめんなさい、功。でも、これでいいんだよね……)
泉の頬には、一粒の涙が零れていた。
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