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第1話 ありえない新生活

 何も見えない真っ暗闇の中。  俺が最初に思ったのは、物凄く眠いってことだった。  次に感じたのは、首から何かが外れてゆく感覚で、それからガシャリというやけに重そうな物音も続けて聞いた。  どうやら、今まで俺の首にかかっていた何かが、床に落ちたらしい。  肌から一瞬離れてすぐまた自分の太股(ふともも)の内側に触ったソレが、ヒヤリと冷たく感じるのは、首から落ちたヤツが金属だからだろうか。  俺は重いアクセをつける趣味はない。  鎖で出来た首輪? まさかな。  うとうとしながら、何があったんだろう? と考える間もなく、次に聞こえたのは荒い息使いをしている男の声だ。 「さあ、目を開いてごらん。僕の愛しいリジー」  うぇ……っ! 誰だこの! 男のくせに甘ったるい声を出してるヤツは!  耳に息を吹きかけながらの気色悪い猫撫で声に、意識がだんだんはっきりしてくる。  コイツ、俺をリジーって呼んだ?  リジーって言うのは、普通、外国でよく聞かれるエリザベスっていう女の名前の愛称だ。  俺の事じゃない。  俺は……俺の名前は……そう、高遠(たかとう)!  立派な日本人の成人男子だ!  い、いや一応二十歳にはなった……けど、成人式がまだな場合、どうなんだっけ?  親につけられた名前も、エリカなんぞと言う、女みたいなふざけた名前だけど、俺は男だ!  でも……何だか……う……うーんと……  コイツは、俺の名前の最初の『エリ……』の部分だけを適当に聞いて、勝手にリジーって言ってるような……気がする……んだけど……?  初めて聞いたはずの声なのに、なんでそんな事が判るんだろう?  くそ……まだまだすげー眠くて、肝心なことを思いだせないぞ……!  かすれた男の声は、女だったら色っぽい、と思うかもしれない。  でも俺には、耳元でハアハアされながら聞こえる声が気持ち悪いだけだった。  どうやら俺は床に座り、眠くて力の入らない身体を誰かに支えられているようだ。  火傷しそうなほど熱くて大きなモノが、俺の身体の中に押し込まれてる感覚もある。それが、内臓を圧迫しているのも気になった。  むせかえるほど香水の匂いが辺りに立ち込めていると言うのに、生臭く青い臭いが鼻につく。  妙に神経に触る男の甘い声と込みで吐きそうになりながら、俺は言われるまま、眠気に抗ってゆっくりと目を開き……見えた光景に、息をするのを忘れた。  な、なんだこりゃ!  俺の前には、なんだかゴテゴテと縁に飾りのついた大きな鏡があり、今いる部屋の全部が映っている。  それをぼんやり見渡して固まった。  どこかで見たような古代ペルシャ帝国風の部屋。  東西の交易の要の国らしい豪華な部屋で、二、三十人ほどの男たちが男同士、欲望丸出しで絡み合ってる。  全員が、全員全裸というわけじゃないが、乱暴に脱がされ、引きちぎられた布の切れ端を着ている奴は、裸よりエロい。  まるで人の身体を貪り食っているかのように、相手の肌にキスをするもの。  華奢な男を数人の男が取り囲んでいるのもいる。  口に太いのを突っ込まれ、両手に別のヤローのナニを持った挙句、更に尻を犯され、パシパシと音をたてるほど肌と肌がぶつけられているんだ。  ……こんな光景は、アヤしい漫画やゲームの中でも早々見るもんじゃない。  恋愛対象は女のはずなのに、俺は狂った宴から目を放すことができなかった。

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