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ありえない新生活 2

 信じられない光景を呆然と眺めて、ふっと、浮かぶ名前があった。  ここは『パルティアの奴隷の部屋』だ。  ……って、なんで俺、そんなの知っているんだ?  しばらく考えて気が付いた。  そう。  ここは、俺の好きなRPGゲーム『ワールドオブワールド(WOW)』の世界にそっくりなんだ。  事故で死んだ主人公が、無敵の力を持って異世界に召喚され、数々の難題をクリアして成長し、最後に魔王を倒してハッピーエンドになる話。  現代ファンタジー異世界転移のテンプレを、ついついやり込み、五周も繰り返したぐらいだ。  隠しイベントを含めて何でも知ってるけれど、それは、ただのゲーム。  専用機に移植された二次元画面の中のことでしかないはずなのに、今の俺には、ここが現実世界と全く変わらないように見えた。  ヨーロピアン系とアジアン系の装飾品が、広い部屋を無秩序に飾っている部屋の何処を見ても、画面の切れ目もない。  もちろん手にコントローラを持っているわけじゃない。  どうやってここへ来たんだろう?  部屋のあちこちから激しい息遣いが聞こえ、臭いを感じるのは現実と変わらない。  体の隅々までの触覚もあるから、ここがゲームじゃなく異世界だと言われても信じそうだ。  そして、全年齢対象RPGのWOWでは、ありえない光景が広がっていた。  部屋にいるのは首に鎖を巻いている奴隷たちと、彼らを手酷く犯している主人たちだ。  広い部屋で大勢が欲望に狂っている中で、俺はひと際淫らな格好をさせられ、現実を直視できなくなっていた。  思わずあさっての方を向いて、部屋の観察を始めてしまった俺は、顎をぐぃと掴まれ、無理やり鏡に映っている自分の姿を見せつけられた。  う……あ……  鏡の前で全裸の俺は、足をM字に折りたたまれ、大股開きをさせられている。  俺の身体が、ゆっくり前後するたび、太股の内側に、ヒヤリ、ヒヤリ、と触れるのはきっと。今、俺の首から外れた……奴隷用の首輪!?  そして、なんで俺が、前後にゆっくり動いているのか……恐る恐る視線を中央に持って行き……見えた。  俺を後ろから抱きしめている男の欲望を、俺の孔が根元までズップリと咥え込んでいる様子が。  しかも、俺のカラダがゆっくり前後に揺れているのは、後のヤツが器用に腰を動かして、自分のバカでかいペニスをゆっくり出し入れしているからだ……!

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