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第1話
私が案内できるのはここまでだ。
聖地カラドから中国までの道中、一言も口をきかなかったスーツの男が初めて少年に話しかけた。
最初の言葉が、別れの言葉になろうとは。
しかし、それに感傷を抱くような少年ではなかった。
所詮この男は、自分を修行地へと導くだけの役割しか持っていないのだ。
少年・天佑(てんよう)は唇を真一文字に結んだまま、うなずいた。
「ここからは、彼が君を連れてゆく」
は、と天佑は男が指差した方に顔を向けた。
ここから、まだ先があるのか。
周囲はすでに、閑散とした小さな村なのだ。
ここ以上に、さらに辺境へ向かうのか。
カラドの使いから天佑を引き継いだ男は、ポロシャツにチノパンというラフな格好をしていた。
そして、よく喋った。
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