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第4話

 天佑の引き締まった挨拶に、師父はふむ、と髭を撫でた。  礼儀正しい言動、凛々しい顔つき。  そして、活きたまなざし。  魔闘士になる素質は充分にある、と思われた。  天佑もまた、真っ直ぐな眼で師父を見ていた。  縮んだ身体、皺の深い顔、豊かに蓄えた白い髭。  かなり高齢のようだが、そこから発せられる威圧感は充分だ。 「おぬし、名はなんという」  不思議なことに、中国語などまるで知らないのに師父の言葉ははっきり解かる。  頭の中に、直接響いてくる感じだ。 「天佑、と申します」 「ふむ、天佑。おぬし、ここで修業を積んでみる覚悟はあるかの?」  はい、と天佑は即答していた。 「私も強くなりとうございます。先程のあの男、あれくらい強く」  

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