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第9話

 お前から10000円貰いたいほど困窮はしてない、と一真はベッドに腰かけた。 「じゃあ、何で」 「断ったら、悪い大人に話を持ち掛けると思ったからだ」 「本気だからね、僕。ホントにヤンキーに声かけるからね」  そしてヤクで体ボロボロにされて、風俗に売り飛ばされるんだ、などと物騒な事を麻希はすらすら口にする。  ただ、その眼が本当に真剣だったので、一真は腹をくくった。  実は、他に何か悩みがあるのかもしれない。  それを打ち明けるために、必要な手順なんだ。これは。  そう自分に言い聞かせ、一真は麻希の隣に潜り込んだ。

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