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第23話

「ひぅ……ふぅ……はぁ、はぁ……」  見ると、麻希はうっすらと涙をにじませている。 「ごめん。苛めすぎたか?」 「ううん……、すっごく燃えた」  そう言って、麻希は一真の胸に頬を摺り寄せる。  何度か抱いて気づいた、麻希の事後の癖だ。 (こんな甘えた仕草を見せて。ビジネスじゃなかったのか?)  それでも麻希可愛さゆえに、意地悪は言わない。  恋人同士のような行為に、何度錯覚しかけたことか。 (佐倉は、俺を愛してるわけじゃないんだから)  だから、勘違いするな、と自分を戒める。  一真は麻希に、どんどん溺れていくというのに、そんな建前に縋りついていた。

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