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第32話

「じゃあ、卒業祝いは受け取ってくれるな?」 「うん。ありがとう」  しばらく祝儀袋を手で弄っていた麻希だったが、やがて照れたように言った。 「ね、一真先生。今からは僕のこと、麻希って呼んでよね」  解った、と一真も笑顔になった。 「麻希も俺のこと、一真って呼んでくれ」 「うん!」  二人、抱き合ってキスをした。  今までで、一番甘くて長いキスをした。  そして一回10000円の恋は、無償の愛へと変わっていった。

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