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 ずっ、ずっ、と、太いものが侵入してくる。  それだけで、体全体が快感に支配される。 「ああ……、ほむらさん、ぅあ、あ」 「大丈夫です? 苦しい?」  ぶんぶんと首を横に振る。 「はあ、早く突いて」 「りくさん、そんなに焦って……よほど気持ちがいいのかしら」  早くめちゃくちゃにされたい。この人に。 「ん、はぁ、エッチでごめんなさい。おしりひくひくしちゃいます」  ほむらさんは、流し目で笑った。 「……ご自身のことがよく分かっていらっしゃいますね。えらいですよ」  僕の腰に両手を添え、ずん、ずん、と中を突いた。  待ちわびていた感覚に、身悶える。 「あぁッ、……ほむらさんっ、あっ」  しがみつくように、腕を握る手に力を込める。 「ん、はあっ、はあ……っ、ぁあっ」 「りくさん、激しくしてもいいですか?」 「んっ、してください」  ガンガンと中を突かれる。そして、絶叫。  性器でもなんでもない、排泄器官の中に挿入されてこんなに気持ちいいなんて、おかしい。 「ああっ、おしり気持ちよくて、おしりで気持ちよくなっちゃって、エッチでごめんなさい」 「……そうですね。おしりで気持ちよくなってしまうりくさんは、ふしだらでいけない子です」  だめだ。もう、中のことしか考えられない。気持ちいい。  ちゅぷん、ぱちゅんと、ローションの混ざる音と肌同士がぶつかる音で、ますますいやらしい気持ちになる。  思わず、乳首をいじくった。 「はあ、ぁあっ」 「そこも欲しかったのですか?」 「んぁ……ッ、あ、ほむらさんに、エッチなところ見て欲しいんです」 「本当に可愛らしい子ですね。いいですよ。中は私のペニスでたくさん擦ってさしあげますから、りくさんはご自分で、乳首をいじって私に見せてくださいね」  くりっくにっと、乳首を摘み上げる。 「ぁあっ、あっ」 「気持ちいいです?」 「ああ、せーし出ちゃいます」 「出すところが見たいですね。精子。コントロールできないのでしょう?」 「んっ、ん……」  とっくに制御不能だ。カウパーがだらだらこぼれていることくらい、自分でも分かっている。 「こんな、ほんの子供みたいな顔をしたあなたが、エッチなお汁をはしたなく垂らすなんて。ね」  おしりに突っ込まれて気持ちよくなって、こんな情けないところ、ほむらさんにしか見せられない。 「ぁ、あ……っ、」  ピンッと乳首を強めに引っ張ったら、触れていないペニスがビクビクッと震えた。 「イきたいです?」 「はい、イかせてください」 「まだダメですよ」  いたずらっぽく笑う、その妖艶な唇がまた、僕の興奮を誘う。  中を巧みに突く腰つきは、獣に近い。  あんなに上品な、おっとりとした、雨月先生の裏の顔が…… 「ぁあッ」 「りくさん。もしもイきたいのでしたら、それ相応のお願いの仕方をしてくださらないと」  欲望が、口からだらだらとこぼれていく感じ。 「ほむらさん、はしたない僕のおしりの中を、ぐちゃぐちゃにしてください」  彼は、ゾクゾクとする表情で僕を見下ろした。 「……分かりました。あなたのお望みどおりにいたしましょうね」  勢いをつけて腰を振り、体全部を揺するみたいにして奥を突く。 「あぁッ、あん、ンッああっ」 「誰があなたの体をこんなにしたのです?」 「ぁ、あッ、ほむらさ……っ」 「そうでしたね。覚えていて、えらいですよ」  唐突に、ぶわっと熱がせり上がる。 「あッ、ダメ、イッちゃぅ……ぁああっ!」  勢いよく、精液がお腹に飛び散る。  ビクビクと跳ねる体を押さえつけて、ほむらさんは腰を振るのをやめない。 「ああ……ッ!イッ、ぁあああ!……ッ……!」  イきながら、イく感じ。とめどない絶頂が何度も押し寄せる。 「ああ、りくさん。なんて淫らなのかしら」 「んんっ、も、むり、……ッ……んぁ、イく、ぁあああッ!」  ビンビンと体を痙攣させて、そのまま脱力した。 「ぁ……、あ、……」  だらしなく、よだれを垂らす。  ほむらさんはペニスを引き抜いて、いくらか擦った後、不明瞭な声を上げながら僕の顔に射精した。 「……ほむらさ、」  飛びかけの意識で名前を呼ぶ。  ふっと力を抜いたほむらさんは、一転、子供をあやすみたいな目で僕のことを見た。 「あなたがここまで心を許してくださるのは……なんだか、感慨深いですね」  そう言いながら、僕の頬に手を伸ばし、指で精液を拭う。 「眠りますか?」  穏やかな、優しい声だ。 「ん……」  ほむらさんが、すっと立ち上がってどこかへ行ってしまう。  行かないで、と思ったら、手拭いと桶を持って帰ってきた。  桶に入ったぬるま湯で手拭いを濡らし、固く絞って、僕の体を清めてくれる。  こういう優しい瞬間が大好きで、もうこの人からは離れられないのかなと思う。  目を細めたほむらさんは、僕の頭をそろそろとなでた。 「おやすみなさい。目を覚ます頃には、きっとあなたのお仕事はできあがっていますよ」  浴衣をひっかけ、机に向かう雨月先生の横顔は、美しかった。 (了)

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