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 ひとりでしていた……というたくまは、手慣れたものだった。  四つん這いで頭を低くし、お尻だけをこちらに見せた状態。  自らローション塗り込み、すこしほぐれるまで、自分で指を出し挿れし、小さく呼吸を乱した。 「ん、ん……っ」  正直、目からの刺激が強すぎて、既にどうにかなりそう。  指を引き抜くと、ちらっとこちらを見た。 「……りっくん、指でして」 「分かった。痛いとかあったら言えよ」  つぷっと人差し指をうめる。  中は温かく、吸い付いてくる感じ。  粘着質な音がするたび、たくまは悩ましげな声を上げて、シーツを掴んだ。 「はぁ、……あ。りっくんの指、入ってる」 「ちょっと広げるぞ」  指を2本、3本と増やし、中をぐるぐると探る。 「どこがいいんだろ。普段触ってて気持ちいいところとかあるか?」 「えっと……お腹側で指の第2関節くいって曲げるとちょっと硬いとこがあって……」  言われた通りにしたら、たくまがビクッと跳ねた。 「これ?」 「ん、……き、きもちぃ……」  泣きそうな声で言われて、興奮した。  たくまの欲求を満たしてやれていることに。  こんな日がくるなんて、思ってもみなかったから。 「りっくんの、欲しい」 「いいのか?」 「うん。して」  お尻の穴をひくつかせる。まるでねだるように。  指を抜いて、体をごろんと仰向けにさせた。腰の下にクッションを敷き、買ってきたばかりのコンドームをはめる。  太ももを持って掲げると、さすがに緊張した。  たくまは、眉根を寄せて俺の目をじっと見つめている。 「いいか?」 「ん、来て」  先端を当てがい、そのままずぶずぶと沈める。 「ぁあ……」 「……、たくま」 「は、ぁ……おっきぃ……」  苦しそうにするので動きを止めたら、俺の腕を掴んでいた手に、ギュッと力を込めた。 「ん、いいから。挿れて」 「分かった」  奥まで入ると、たくまは、恍惚の表情で俺を見た。 「りっくんの……本物。入ってる。うれしい」 「……っ、たくま、動いていいか? ちょっと我慢すんのきつい」 「うん、して。りっくんの好きなように」  テクニックなんてないから、とにかく自分の気持ちいいように、腰を引いて、また奥を突いて。 「あ、あっ……、りっくん。奥、ぁ……っ」 「奥がいいのか?」 「指じゃ届かなくて。はぁ……、りっくんに突いてもらうの、気持ちいい」  いつもぽわぽわで、こんなこととは無縁そうなたくまが、俺の腕の下で乱れている。  そう思ったら、興奮のリミッターが外れたらしい。  パンパンと勢いよく打ち付けると、たくまは高い声で嬌声を上げた。 「んぁ、ぁっ、ああッ」 「たくま、たくま……っ」  ペニスを掴んでしごいてやると、たくまは絶叫した。 「ぁああッ、い、イッちゃう……っ」 「いいよ。遠慮すんな」 「でもりっくん……」 「俺のことはいいから。イッて」  たくまは、ぎゅっと目をつぶり、シーツを握りしめる。 「ぁあ、イッちゃう、イッ、ぁあ……っんぁああっ!……ぁッ……!…………ッ!」  腹の上に飛び散る精液を見て、興奮のメーターが振り切れた。  俺が、こいつを汚した。 「ぅあ……、イク……ッ!……!」  抱きしめたままドクドクと吐き出すと、たくまは耳元で、か細く「すき」と言った。  正式に、付き合うことになった。  と言ってもやることはほとんど変わらず、毎日一緒に登下校して、くっついてくるたくまを子供か子犬のようになでてやって、放課後はうちで漫画読んだり好きに過ごして。  でも、合間にキスをする。  母親がパートで家に誰もいない日は、セックスする。 「りっくん」  ベッドの中、裸で布団をかぶり、事後の余韻を味わう。 「冷房つけながらあったかい布団かぶるなんて、地球環境に悪いよ」 「ああ、それはな……」  ぽりぽりと頭を掻きながら、あさっての方を見る。 「最高の贅沢だろ。こたつでアイス食べるのがうまいのと同じ原理で、冷房の効いた部屋でお前を食って一緒の布団をかぶって寝るのは、贅沢」  たくまは、ひじをついてちょっと体を起こしたあと、くすっと笑った。 「りっくんのエッチ」 (了)

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