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目を覚ますと、ちゃんとふとんがかけられていて、裸のままの新米バイト(超絶技巧)が、僕の顔をじっと見ていた。
「店長、すごかったですね」
「……そうですね」
どう接していいか分からない。
セックスの最中に叫んだことは本当で、もう適当な男漁りなんかせず、毎日駒形に犯されていたかった。
「昨日の男にも、こんな風に乱れてたんですか?」
「まさか。淡々と挿入して、射精しあって終わりです」
「そうかぁ、ふふ、そっかあ」
やめてくれ。
その、ジャーキー待ちの子犬みたいな顔は、目に毒だ。
僕はコホンと咳払いをした。
「色々醜態を晒しましたし口走ったりもしましたが、真に受けないでくださいね。私は業務外で従業員と個人的に会いたくは……」
と言い終わるより先に、駒形にくちびるをふさがれていた。
「ん、ん……」
「……俺、どっちが嘘かくらい分かるよ。従業員と会いたくないなら、俺、バイトやめるし」
僕は目を見開いた。
「えっ? いや、そんなことをしたら生活が立ち行かなく……」
「いや、店長の家に上がり込んだ時点でクビかもと思ってて、次のバイト先の目星つけてから来ました」
「は……?」
では、最初に口走っていた『下手だったらクビにしてもいい』という発言は……。
「私を陥れたのですね?」
「人聞きが悪いなあ。でも、俺のこと離したくなくなったでしょ? いいですよ、店長の好きで。バイトのまま毎日セックスするか、バイトは解雇して毎日セックスするか」
「……っ、どうして毎日が前提……」
と言いかけて、僕はやめた。
なぜなら、どう言い訳を連ねたところで、僕はもう、陥落してしまっている。
彼からは逃れられないのだと、体が気付いてしまったのだ。
目の前のバイト(まもなくクビ予定)は、甘えるようにすり寄ってきた。
「毎日たくさんエッチしようね」
「……あしたまでに、解雇するに相応な内容の辞表を書いてきなさい」
「これ、業務連絡?」
「ええ。最後の業務連絡ですし、これ以降は……」
迷いながら、彼の頬に触れる。
「これは業務外ですよ」
そう言って僕は、目の前の子犬(暫定無職)に、キスをした。
(了)
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