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第51話
「女王様の期待には応えないとなんじゃなぁいぃ~?」
「茅ヶ崎 見たいだけだろ」
「ばれてたぁ~」
「ふたりが期待に応えてくれたとしても、茅ヶ崎には見せないよ?」
「女王様 無慈悲ぃ~」
「その期待にだけは応えられねーから」
百から拒否された。
残念。
「まぁ、俺と百のそういうのは置いといて、どうも諦めが悪そうではあるよな」
え、と思って千歳の視線を辿ると香月さんの姿が目に入った。
…心なしか、さっきより萎んでる気がする。
「しつこ」
「しつこっ」
素直な感想は百と茅ヶ崎から。
俺も同じ感想だけど。
「蜜が口説かれたり告白されてるの見て凹んでる感じ?」
「そうなんじゃないか?」
「まぁねぇ~、あれだけ言い寄られてるの見たらねぇ~」
「自分よりいい男に言い寄られてたし、尚更だろうな」
「女王様あそこでパッと『君に決めた!』ってしちゃえばよかったんじゃなぁいぃ~?」
そんなポケットのモンスターみたいな決め方でいいんだ。
「う~ん…じゃあ今日は百と千歳に決めたぁ」
「それいつもじゃぁん~」
「俺らは全然構わないけどな」
「そうでしょ?」
「女王様、満足げ」
「余は満足じゃ!って言えばいい?」
「ん~そういう感じじゃないんだよねぇ~。脚組んで、『もちろん楽しませてくれるんだよね?』って感じぃ~」
「すごい上からじゃん」
「女王様だしぃ~?」
俺のイメージどうなの、それ。
でもまぁ。
「じゃあ、百と千歳はもちろん俺のこと楽しませてくれるんだよね?」
脚組んでちょっと偉そうに、でも可愛さも忘れず言ってみるよ。
「俺たちが女王様の期待に応えないことがあったか?」
「ないねぇ」
「いつでも期待してくれて構わねーよ?」
「ほんと? じゃあ今日も期待しちゃうよ?」
「ヘッドスパの準備ができてるんだなー」
「えっ、最高!」
「蜜の好きなDanielのチーズケーキがあるぞ」
「やったぁ!」
嬉しい!
ここが学食じゃなくて寮の部屋だったら、間違いなく飛び付いてる。飛び付いてほっぺにちゅーしてる。
「これだけしてくれる人たちが一番近くにいるんだもん、そりゃあ並大抵の男では相手にならないねぇ~。普通に羨ましいもん~」
こんなに甘やかされて、ほんとに他の人じゃ満足できなくなりそうなのは怖い。けど甘えちゃう。
「…彼氏で満足できなくなっちゃったらどうしよう…」
「そしたら付き合っちゃえばぁ~?」
「百と千歳に彼女とか彼氏できてたら無理じゃん」
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